選手やその保護者から「牛乳が苦手なので、代わりに豆乳を飲んでもいいですか」という質問を非常に多く受けます。確かに牛乳と豆乳は、見た目は似ていますが、中身も同じなのでしょうか。

豆乳と牛乳の定義

豆乳とは、大豆を水に浸してすりつぶし、水を加えて煮詰めた汁を漉(こ)した飲料です。日本農林規格の定義では、「大豆から熱水等によりタンパク質その他の成分を溶出させ、繊維質を除去して得られた乳状の飲料、大豆豆乳液のことで、大豆固形分が8%以上のもの」となっています。原材料は大豆ですので、植物性のタンパク質になります。

一方の牛乳は、食品衛生法では、「牛から搾ったままの未殺菌のミルク、生乳を均一化処理して加熱殺菌したもの」で、動物性のタンパク質になります。

成分比較とそれぞれの特徴

100mlあたりの成分を比較してみましょう。

牛乳より豆乳の方がエネルギーや炭水化物、脂質が低くなっています。豆乳は大豆が原料なのでわずかですが、食物繊維も含まれています。タンパク質はそう変わりありません。

大きな違いがあるのは「カルシウム」で、牛乳には豆乳の7倍以上も多く含まれています。豆乳では、カルシウムを牛乳ほどは摂れないので気をつけなければなりません。豆乳に多く含まれているのは「鉄」で、牛乳には含まれていません。

ビタミンでは、ビタミンB2は牛乳よりも豆乳の方が少なく、造血に関与するビタミンB12は含まれていません。しかし豆乳には、イソフラボンという女性ホルモンとよく似た働きを持つ成分が含まれています。

このように牛乳と豆乳は、同じ「乳」と名がつく飲料ですが、それぞれ特徴があり、成分は同じではありません。冒頭の「代わりになるか」という質問に対する答えは、「代わりにはならないので、不足する栄養素を他の食品で補うことが必要」となります。それぞれの良さを知って、うまく使い分けてください。

今回は、豆乳を使った「豆乳の和風ポトフ」を紹介します。

気候も寒くなってきましたね。ジャガイモ、タマネギ、ニンジン、ブロッコリーに粗びきソーセージ。ごろっとした野菜が入った温かいポトフに豆乳を加えると、鉄分やイソフラボンなども摂りながら温まることができます。お試しください。

管理栄養士・舘川美貴子

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